Nade Kinki

ディベート甲子園ルール

全国中学・高校ディベート選手権ルール

1996年01月31日制定
2004年12月18日改正
2006年01月21日改正
2007年02月24日改正
2009年02月07日改正

第1条 試合の進行

  1. この大会のフォーマットは,別表1・別表2の通りです。
  2. この大会では,原則として4名の選手が立論・質疑・第1反駁・第2反駁の各ステージをそれぞれ担当するものとし,質疑における応答は立論担当者が担当するものとします。
    出場選手については,別に定める細則A(出場選手に関する細則)に従わなくてはなりません。
  3. 試合は,司会者の指示によって進行します。選手,聴衆は,司会者の指示に従わなくてはなりません。

第2条 各ステージの役割

  1. 肯定側立論は,論題を肯定するためのプランを示し、そのプランからどのようなメリットが発生するかを論証するものとします。
    否定側立論は,現状維持の立場をとるものとし,主に肯定側のプランからどのようなデメリットが発生するかを論証するものとします。
  2. 質疑では立論の内容などについて質問を行い,質疑での応答は立論の補足として扱われます。
  3. 反駁は,主に,メリット(あるいはデメリット)に対する反論,反論に対する再反論,メリットとデメリットの大きさの比較を行います。

第3条 議論における注意事項

  1. 議論の論証のために,文献等をスピーチで引用することができます。引用に当たっては,別に定める細則B(証拠資料に関する細則)に従わなくてはなりません。
    なお,図や表を証拠資料として見せることはできません。
  2. 質疑で明らかとなった情報を議論に生かすためには,その後の立論や反駁で改めて述べる必要があります。
  3. 相手が持ち出した主張・根拠に反論する場合を除き,立論で提出されず反駁で新たに提出された主張や根拠は,「新しい議論」と呼ばれ無効となります。
    第1反駁で出せる反論を第2反駁ではじめて出すことは,「遅すぎる反論」と呼ばれ無効となります。

第4条 反則行為と処分

選手等に反則行為があった場合,別に定める細則C(反則に関する細則)にもとづき,敗戦や大会失格等の処分の対象となります。

第5条 判定

試合の判定は,別に定める細則D(判定に関する細則)にもとづき審判が行います。メリットがデメリットより大きいと判断される場合には肯定側の勝利,
そうでない場合には否定側の勝利となります。引き分けはありません。     

第6条 コミュニケーション点

  1. 各審判は,勝敗とは別に,各ステージでのコミュニケーションの要素を評価した「コミュニケーション点」を採点します。
    コミュニケーション点は・立論・質疑・応答・第1反駁・第2反駁のそれぞれについて次の5段階で採点し,合計したものをチームのコミュニケーション点とします。

     5点 非常に優れている
     4点 優れている
     3点 普通
     2点 改善の必要がややある
     1点 改善の必要がかなりある
  2. 各審判は,各チームにマナーに反する行為があった場合,チームのコミュニケーション点から最大5点を減点することができます。
     5点 非常に優れている
     4点 優れている
     3点 普通
     2点 改善の必要がややある
     1点 改善の必要がかなりある
(別表1) 中学生試合フォーマット
  肯定側立論 4分
      否定側準備時間 1分
  否定側質疑 2分
      否定側準備時間 1分
  否定側立論 4分
      肯定側準備時間 1分
  肯定側質疑 2分
      否定側準備時間 1分
  否定側第1反駁 3分
      肯定側準備時間 2分
  肯定側第1反駁 3分
      否定側準備時間 2分
  否定側第2反駁 3分
      肯定側準備時間 2分
  肯定側第2反駁 3分
(別表2) 高校生試合フォーマット
  肯定側立論 6分
      否定側準備時間 1分
  否定側質疑 3分
      否定側準備時間 1分
  否定側立論 6分
      肯定側準備時間 1分
  肯定側質疑 3分
      否定側準備時間 1分
  否定側第1反駁 4分
      肯定側準備時間 2分
  肯定側第1反駁 4分
      否定側準備時間 2分
  否定側第2反駁 4分
      肯定側準備時間 2分
  肯定側第2反駁 4分

 

細則A(出場選手に関する細則)

2004年12月18日制定
2007年02月24日改正

  1. 大会の登録選手は4~6名,各試合の出場選手は4名とします。ただし,事情がある場合には2名あるいは3名での登録及び試合出場を認めることがあります。
    認められるのは,4名以上が出場するよう努力をしたにもかかわらず,やむをえず4名以上の出場ができなかった場合に限られます。
  2. 2名あるいは3名での大会登録を希望するチームは,大会登録時に申込用紙に事情を記入しなければなりません。主催者が事情を認めた場合には,大会への出場が認められます。
  3. 4~6名で登録したチームが,大会当日になって2名あるいは3名で試合出場を希望する場合には,主催者にあらかじめ事情を説明しなければなりません。
    主催者が事情を認めた場合には,大会への出場が認められます。
  4. 試合開始時点で2名以上の選手が揃わない場合には,その試合は敗戦となります。
  5. 2名で試合に出場するチームは,立論と質疑を別の選手が担当し,第1反駁と第2反駁を別の選手が担当することとします。
  6. 3名で試合に出場するチームは,立論,第1反駁,第2反駁を異なる選手が担当し,第1反駁もしくは第2反駁を担当する者が質疑を担当することとします。

 

細則B(証拠資料に関する細則)

2004年12月18日制定
2006年01月21日改正
2007年02月24日改正

  1. 証拠資料として認められるものは,公刊された出版物で第三者が入手可能なもの,及び,政府の公表した報告書などこれに準ずるもの――インターネット上の情報、独自のインタビューや調査結果など――のみとします。
  2. 試合で使用する証拠資料については,以下の情報を記録しておかなければなりません。
    • 書籍については著者の肩書き(編著の場合編者と該当部分の筆者について。名前についても同じ)・著者の名前・書名・発行年・引用部分のページ数
    • 雑誌記事については著者の肩書き・著者の名前・引用記事のタイトル・掲載雑誌名・掲載雑誌の巻号・発行年・引用部分のページ数
    • インターネット上の情報については筆者の肩書き・筆者の名前・サイト名・情報掲載日付、あるいはそのサイトにアクセスした日付・引用サイトのアドレス
  3. 証拠資料を引用する際には次の要件を満たさなければなりません。インターネット上の情報を引用する際も同様です。
    著者の肩書き・著者の名前・発行年を示すこと
    証拠資料が引用されている部分を明示すること
  4. 前項の要件が満たされていない場合には,引用された証拠資料の信憑性は低く評価され,あるいは資料として引用されなかったものと判断されます。
    インターネット上の情報,独自のインタビューや調査結果など出典の信用性が低い種類の資料については,その性質に応じてその信憑性が判断されます。
  5. 証拠資料を引用する際には,原典の文面をそのまま引用しなければなりません。ただし,元の文意を損なわない範囲で中略を施すことは,そのことを引用中に明示する限りにおいて許されます。
  6. 文章を改変して引用したり,元の文意を変えるような不適切な省略を行ってはなりません。そのような引用がなされたと判断された場合,その資料は試合の評価から除外されます。
  7. 各チームは自分たちの準備時間中に,相手チームがそれまでに読み上げた証拠資料の提出を求めることができます。ただし,提出された資料は,その準備時間の終了までに返却しなければなりません。
  8. 審判あるいは相手チームから,それまでに読み上げた証拠資料の提出を求められたときには,証拠資料を提出しなくてはなりません。各チームは,請求に応じて請求された資料を提出できるように用意しておかなければなりません。
  9. 本大会では,図や表の掲示は認められません。なぜなら,本大会は口頭でのコミュニケーションを重視しているからです。

細則C(反則に関する細則)

2004年12月18日制定
2006年01月21日改正
2007年02月24日改正

 

  1. 次の行為があったときは反則と見なし,悪質な場合,審判の判断でその試合を敗戦にすることがあります。
    1. 選手が,試合前に届けられたステージと異なるステージを担当したとき。
    2. スピーチ中の選手に対して,他の選手が口頭でアドバイスを行ったとき。
    3. 私語等により,スピーチの聞き取りを妨げる行為を行ったとき。
    4. 審判や相手チームから証拠資料の提示が求められた際,これに応じないとき。
    5. 証拠資料を捏造(ねつぞう)して使用したとき
    6. 証拠資料として元の文章を改変したものを引用したり,元の文意を変えるような不適切な省略をしたとき。
    7. 選手等が司会者や審判の指示に従わず,試合の継続が困難と判断されるとき。
    8. その他,試合中,選手に著しくマナーに反する行為があったとき。

    以上の反則行為があったと考えられる場合,選手は,試合中あるいは肯定側第2反駁直後に審判にアピールを行うことができます。アピールは司会者の許可を得て行います。

  2. 次の行為があったときは反則と見なし,主催者の判断でその試合の敗戦または大会の失格にすることがあります。
    1. 大会に出場選手として登録されていない者が出場したとき 。
    2. 選手が,試合中にチームの選手以外の者と相談をしたとき。
    3. 選手が,試合中に電話・パソコン等を使用して通信したとき。
    4. 大会期間中,選手に著しくマナーに反する行為があったとき。
    5. その他,選手並びにチームの関係者が大会運営に重大な支障を生じさせたとき。

 

細則D(判定に関する細則)

2004年12月18日制定
2007年02月24日改正
2009年02月07日改正

  1. 勝敗の判定は審判によるものとします。
  2. 審判は個々の論点について以下のように判断を行います。
    1. 一方のチームが根拠を伴って主張した点について,相手チームが受け入れた場合,あるいは反論を行わなかった場合,根拠の信憑性をもとに審判がその主張の採否を判断します。
    2. 一方のチームの主張に対して相手チームから反論があった場合には,審判は両者の根拠を比較して主張の採否を決定します。
    3. 証拠資料については,細則Bの4項ないし6項の規定を踏まえて,資料の内容や出典の信憑性をもとに評価します。
    4. 立論で提出されず,反駁で新たに提出された主張・根拠(新しい議論)は,判定の対象から除外します。
      ただし,相手の持ち出した主張・根拠に反論する必要から生じた主張・根拠はこの場合にあたりません。
    5.  相手チームの主張・根拠に対する反論のうち,第1反駁で行えたにもかかわらず第2反駁で初めて提出されたもの(遅すぎる反論)は,判定の対象から除外します。
  3. 審判は,個々のメリットあるいはデメリットについて,以下の3点について検証を行い,大きさの判断を行います。
    1. プランを導入しなければ,そのメリットあるいはデメリットは発生しないこと。
    2. プランを導入すれば,そのメリットあるいはデメリットが発生すること。
    3. そのメリットあるいはデメリットが重要・深刻な問題であること。
  4. 審判は,個々のメリット,デメリットの判断をもとに,メリットの合計とデメリットの合計の比較を行い,どちらに投票するかを決定します。
    その際,比較の価値基準が試合中に提示されていれば,その立証の程度に応じて反映します。判断基準が示されなかった場合は,審判の判断に委ねられます。
  5. 審判は,細則Bの4項(証拠資料引用の要件)または6項(証拠資料の不適切な引用)の判断を行うため,準備時間または判定協議の間に,その試合で引用された証拠資料の提出を求めることができます。
  6. 審判の判定は覆りません。但し,細則Cの2で定める反則行為が行われたと主催者が判断した場合はこの限りではありません。
  7. 審判は,立論・質疑・応答・第1反駁・第2反駁のそれぞれについて,話し方,スピーチの速度,議論の構成などを総合し,分かりやすいスピーチであったかという観点からコミュニケーション点を採点します。
    質疑・応答のステージでは,相手方とかみ合ったやり取りをしているかという観点についてもコミュニケーション点において評価します。
  8. 審判は,選手の行為のうちディベーターとして期待されるマナーに反する行為や,細則C所定の反則行為があった場合,それらが敗戦ないし失格に至らない程度であるときでも,当該選手が所属するチームのコミュニケーション点から最大5点を減点することができます。